タイトルと表紙からは少し難しそうな印象を受けるが、実際は平易な文章で丁寧に解説された、初心者向けの解説書である。少し難しい概念に触れるときには、誰にでもわかるようなたとえ話を入れるなど、読者への配慮があちこちに見られる。

   本書は、まず大きく「ワークフロー」と「基礎技術」という内容に分かれる。それぞれが7章の構成になっている。「ワークフロー」では、クライアントへのヒヤリング、サイトのプランニング、デザイン、原稿の作成と編集、プロジェクトの進行管理など、制作現場で必要となる知識が流れに沿って解説されている。それぞれの「やり方」を伝えているのはもちろんだが、本書で注目すべき点は、その際の心構えや考え方が詳しく解説されていることである。ワークフローで見落としやすい点が鋭く指摘されている。

 「基礎技術」では、HTMLの基礎、画像編集、Flash、JavaScript、映像編集、CGIの設置方法とその中身（Perl）まで、Web制作に必要な知識が幅広く取り上げられている。全部で100ページ足らずではあるが、ポイントを抑えた解説は、知識の幅を広げるのに十分だ。

   本書は、これから仕事でWeb制作を行っていきたい人にはもちろん、Web制作を発注する立場の人にも役立つ内容だといえる。本書で紹介されているような知識があれば、Web制作者との会話もスムーズになるだろう。（上野祥子）