歴史学を学ぶ人のために(1)
★★★★★
本書は、主に歴史学を専攻としている学生向けの史学概論ということになっています(それ以外の人たちにも良いと思います!)。私が学生であった時、「史学概論」という講義で使用したテキストでもあります。
第一部「「記憶する歴史」から「書く歴史」へ」では、高校までに学習した「暗記する歴史」から、実際に「歴史を書く」ことについて述べられています。また、文献の読み方、注釈の仕方など主に卒業論文を作成するにあたって有益な方法が記されています。第二部「「書く歴史」から「考える歴史」へ」では、史学史や長く歴史家たちの間で行われた代表的な論争についても触れています。最後の第三部「「生きるための歴史」を求めて」では、「人が生きること」と歴史とのかかわりに焦点を絞って歴史の意味を考察しています(第二部と一部関連しています)。
卒業論文への取り組みの仕方だけでなく、今日までの歴史学の歩みを概観していることから、大学生用のテキストとしておすすめできる本だと思います。