物語の始まりは、元暴走族・現警察官の三田村巡査が、かつての同志・現神官の牧原の、新車購入記念初ドライブに出かけようとする場面から。いつものとおり学校をサボった三人も呼ばれてもないのにくっついて行って……さあ、何が起こる。
出るキャラが皆立っていて、展開にも子供だましが無いので、純粋なエンターテインメント小説として読めます。本作のキーとなる交通事故の描写には、流血表現や派手な擬音などは一切無いのに、思わず口に手を当ててしまいました。じわじわと迫ってくる怖さは、小学生の当時はちょっとキツかったおぼえもあるのですが、その分三人組のかけあいで笑わせてくれます。香月さんの作品はどれもそうですが、作者本人が一番楽しそうな作品です。読者はそのおこぼれにあずかっている、という感じ(笑)。
個人的お気に入りポイントは、シリーズ3作目の「ユーレイ屋敷の家無き子」で手に入れた云千万というカネを、てつしがバーンと牧原の前に出すシーンと、料金所での『「つりはいらねえ!とっときな!」「てつし、余計なこと言うんじゃねえ!」』の掛け合いシーン。読むたび笑っちゃいます。