本作は、いまや日本を代表するアニメスタジオとなったProduction I.Gが、タツノコプロの一部門だった頃に制作された青春グラフィティである。本作の制作には、いまも同社を支える一流スタッフが結集しており、同社の事実上のデビュー作と言ってよい。
Production I.Gというと、非常に緻密な作品作りをするという印象があるが、本作はというと、設定にいい加減なところがあったり、重要な伏線が最後まで解き明かされなかったりと、結構荒っぽい。しかしそんなことは「それがどうした!」と押し退けてしまう、言葉では表現できない圧倒的なパワーと魅力に満ち溢れている。「あの頃は若かった」と当時のスタッフがCS放送で述懐していたが、その若い情熱が画面に乗り移ったからこそ、JJ、アップル、チャンプという、生き生きとしたキャラクターが生まれたのだろう。
「ジリオン」というと、透明感あふれる音楽を忘れるわけにはいかない。優れたサウンドトラックと、ファンの圧倒的な支持の面があったからこそ、「Let It Rock」や「お洒落倶楽部」といった優れた派生作品が生まれ、OVA「歌姫夜曲」が制作された。後に「エヴァ」や「ナデシコ」を送り出す、スターチャイルドレーベルの歩みはここから始まったのである。
「ジリオン」がなかったら、後のアニメ史はずいぶんと違ったものになっていたのではないだろうか。
もちろん私個人にとっても大変思い入れのある作品である。本作と出会ったばかりに、後の人生はアニオタへの道をまっしぐら・・となったのだから。今回のDVD発売は長い長い間待ち望んだものだが、いま見直しても全く古さを感じず、むしろ新鮮な気分で楽しむことができた。本作を見ると、この15年間にアニメは進歩したのか?と思ってしまう。それとも、時代を超えうる作品とは、このようなものなのかもしれない。