著者は、アメリカのスポーツ心理カウンセラーだ。学生時代にはテニス選手。その後、テニスのプロコーチとして22年間選手たちを指導した。そんな豊富なキャリアと、実践者と研究者という2つの側面から、現在は広くスポーツ選手のメンタル面の指導を行っている。才能を持った選手たちがスランプから脱出できずに悪循環に陥り、押しつぶされていった例を数多く見てきた。
しかしスランプのない選手は存在しない、むしろスランプは勝利へのハードルなのだという。「スランプはミステリアスなものでもなく、選手の精神的弱さが原因でもないのです。単に心と体の不調和の結果であり、心そのものが体や筋肉の憶えているパターンを邪魔しているからなのです」と書く。そして大事なのは選手の「メンタルタフネス」なのだという。ここで言うタフネスとは、自分をいかにコントロールできるかである。そのメンタルタフネスを獲得するためのトレーニング法が書かれているのが本書。実践的な本だけに、スポーツ選手自身や指導者、先生や親などがメイン読者だが、ビジネス書としても得るところの多い本だ。(折口ケイ)