「私の名前はポピー・ワイズ、弟の名前はモーキィ、そして私の犬、ピート。ピートって、それはそれはいい犬なの。だけと時々悪い犬に。ピートは食べちゃいけないものを食べちゃうから」

   この絵本はピートが食べちゃったAからZまで信じられないものが登場します。Aはアコーディオン、それを食べたピートのお腹はギザギザに。Cはケーキじゃなくてカメラ、Hはポピーの宿題、ポピーは先生に怒られた。Sはモーキィの臭～いスニーカー。Xは特大サイズのチーズスナック、食べ終わったピートはスナックとおなじ鮮やかなオレンジ色にチェンジ！。

   ページをめくるたびにピートは何を食べるのかちょっとドキドキ。Maira Kalman（マイラ・カルマン）の絵本はいつも「そんなバカな！」を「もしかしたら本当？」と、読者を迷子にさせてくれる。そして思ってもみないキテレツさで、心の鎧をくすぐってくれる。こんなKalmanの企みは、これからもパワフルに続いてほしい。

   テレビ番組でKalmanがニューヨークの子どもたちの前でこの絵本を読んでいるのを観た。なんでもかんでも食べちゃうピートに子どもたちは大喜び。読み終わったKalmanは「どうしてピートはお腹をこわさないの？」と聞かれて「気がつかなかったわ！」と笑顔で答えていました。子どもに一本取られたみたい。（ゆ）