本作『バンドレロ!』は、開幕早々にピークを迎える。たっぷり30分間に及ぶ大満足のオープニング・シークエンスで、カウボーイのジェームズ・スチュワートが、銀行強盗の弟ディーン・マーチンを絞首刑から救出するのだ…それも、絞首役人に変装して潜入するという奇策で。しかし、兄弟が美女ラクエル・ウェルチを人質にしてメキシコに旅立つあたりになると、アクションは陳腐化する。とはいえ、ロケーションの美しさが見事にとらえられており、野外ロケを得意とするベテラン監督アンドリュー・V・マクラグレンの手腕（そして、ジェリー・ゴールドスミスの冴えた音楽）が光っている。兄弟を追跡するのは、恋に悩む保安官役のジョージ・ケネディ。彼は、やる気のなさそうな捜索隊を率いて、野盗の縄張りに足を踏み入れていく。
   ウェルチのとんでもない髪型は、誘拐騒動や砂だらけの路上生活でも崩れることがなく、あり得ないほどツヤツヤしていて、この映画のリアリティを損なっている。一方、スチュワートとマーチンは自然体すぎ、もともとストーリー自体がお気楽なものということも手伝って、今ひとつ盛り上がらない。だが西部劇のファンにとっては、オープニングだけでも見る価値のある1作だろう。その後の展開で、本作が名作と見なされていない理由を徐々に納得することになるとしても、だ。（Robert Horton, Amazon.com）