Crossroads Guitar Festival/ [DVD] [Import]
価格: ¥2,570
単独のイベントのために、これほど多彩かつ大勢のギタリストたちが集結した例はめずらしい。この2枚組DVDは、本来ならば2倍の長さでもよかったところだが、ハイライトをうまく3時間にまとめている。2004年6月、エリック・クラプトンがアンティグア島に建設したクロスロード・センターを支援するための3日間(チケットの売り上げを寄付)の記録だ。ルーツ色の強いブルースやカントリーは、クラプトンのインスピレーションの中核であるが、このショーでの比重は度を越して大きくはない。その代わり、幅広いジャンルが取り扱われている。たとえば、フォーク(ジェームス・テイラー)、ゴスペル(ロバート・ランドルフ&ザ・ファミリー・バンド)、フレットを砕かんばかりの激しいロック(スティーヴ・ヴァイが圧倒的なパフォーマンスを展開)、ジャズ(ジョン・マクラフリン)、さらに、もっとも興味深いものとして、インドの古典音楽(驚くべき曲を聴かせるヴィシュワ・モハーン・バット)などが登場するのだ。
最大の見どころは、滅多にお目にかかれない意外なコラボレーションの数々だろう。ジョー・ウォルシュとテイラーは「Steamroller Blues」で茶目っ気を見せ、ブッカー・T.&MG'sは陽気な「Rocky Mountain Way」でジョー・ウォルシュを、熱気あふれる「The Neighborhood」でロス・ロボスのデヴィッド・イダルゴをサポート。クラプトンはJ.J.ケイル、カルロス・サンタナとそれぞれ共演するほか、ロバート・クレイ、ジミー・ヴォーン、ヒューバート・サムリン、B.B.キング、バディ・ガイとブルースの頂上対決を展開、拍手喝さいを浴びる。参加者全員にとって、クラプトンはよき共演相手だ。
いくつか欠点もある。たとえば、時系列に従った構成になっていないため、異なるステージ、日程、バック・バンドが一緒くたにされ、全編に散りばめられたクラプトン自身の演奏と混在している。Z・Z・トップによるクロージングが少々盛り上がりに欠けるのもそのせいだ。それに、収録時間の都合で割愛された部分は多い。しかし、それぞれのパフォーマンスの素晴らしさがそんな不満を帳消しにする。録音・撮影ともに優秀なこのDVDなら、一生に一度しかなさそうな出来事を特等席気分で体験できるはず。(Hal Horowitz, Amazon.com)