Blame It on My Youth
価格: ¥1,187
カナダ出身の女性歌手、ホリー・コールは映画『バグダッド・カフェ』の主題歌<6>をカヴァーして、一躍時の人になった。本作はその出世曲を含むホリー初期の代表作。録音は91年。日本盤は『コーリング・ユー』というタイトルで92年に発売された。ピアノとベースを伴ったシンプルな編成をバックにスタンダードをゆったりと歌っている作品。霧の向こうから妖精の声が聴こえてくるような不思議な魅力を秘めたアルバムで、ハスキー・ヴォイスによるモノトーンの歌声がなんともいえぬ風情を醸し出している。ホリーには2度インタビューしたことがあるけど、歌のイメージと違って、いたって陽気で気さくな女性なのが意外だった。ドラマティックな歌い方、そして俗世間を離れたような孤高の歌声は、彼女の芝居心の反映ではないかと個人的には思っている。というのも、ホリーはクルト・ワイルらのジャーマン・キャバレー・ミュージックが大好きだからだ。それにしても出世曲<6>のインパクトは強烈で、そのハイトーンがいつまでも耳から離れない。(市川正二)