コレージュ・ド・フランス講義集
★★★★★
ウィトゲンシュタインの研究者であるジャック・ブーヴレスのコレージュ・ド・フランスの講義。大陸では珍しく分析哲学の立場に立つブーヴレスには、「哲学の自食症候群」「言うことと、何も言わないこと」そして「現代哲学の知」(旧題シャトレ哲学史)所収「論理実証主義の哲学」が邦訳としてあるが、パスモア「哲学の小さな学校」とともに独仏系統と米の文芸批評だけが哲学だと思っているローカルな日本の読者にとってはショッキングな内容。ただ哲学プロパーには、ライルとメルローポンティのすれ違い、サールとデリダのすれ違い(「有限責任会社」所収)ともども、周知の話だが。ブーヴレスはラカン派の雑誌に書いていたが決別したと訳者解説にある。