ぼくはここのところ釣りのことや釣りをすることの意味なんぞを小難しく考えていましたが、この田中氏の文章を読んで、「少し考え直さねば…」と思わされました。
例えば、西那須野の箒川にかかる橋から川を見て…
「なるほど、この川にはヤマメもいるんだなあ」
利平さんが感に堪えぬようにいった。この川にはアユもヤマメもいることも、この目で確認したというわけである。この川にはアユもヤマメも沢山いて、わたしたちに釣られるのを待っている、というわけである。このとき、利平さんとわたしは、この上もなく幸福であった。(「鮎錆びて」p.82)
という描写があります。
ぼくもこんな風に思えたら、もっと幸せになれるんだなと思います。
こんな素敵な文章の書き手になりたいとつくづく思いました。
日常生活やら仕事やら育児やら釣りやらに疲れた時、そんな時にお勧めの一冊です。