主役二人以外でも、マイムだけですがベルテ役はさすが!ですし、アルブレヒトの従者、婚約者、など主役二人との関係で「顔がアップで映る瞬間のある人」はとにかく全員外国人で揃えて皆美しいので「一瞬の興ざめ」もありません(笑)。
難を言えば、チャプターが幕間の1つしか無いこと!これでは何のためのDVDなのやら「好きな見所に何度でも即スキップできる」と楽しみにしていたのに・・。出版元には大いに考えて戴きたいと思います。
しかし、この「ジゼル」はそうではない。熊川哲也という日本人が演じているからなのか、彼なりの解釈からくる演技力なのか、アルブレヒドが本気でジゼルを愛しているのが、ひしひしと伝わってくるのである。
ゆえに、2幕で、必死でアルブレヒドを守ろうとする、妖精ジゼルに、無理なく共感できる。そして、圧巻は夜明けにそんなジゼルを思うアルブレヒドの表情。そこには互いの信頼と恋慕の情がにじみ出ているように感じられた。こんなアルブレヒドは初めてである。2人の一貫した「愛」を感じるテーマ性豊かな「ジゼル」だと思う。
脇を固めているのがロイヤル・バレエ出身のスチュワート・キャシディとサンドラ・コンリー。この2人の演技も流石ロイヤル仕込みと言えるもので、気品があり吸い込まれます! ヒラリオンの心情も手に取るように伝わります。 言葉のないバレエという芸術で、デュランテを含むこの3人のマイムはとっても観る側に訴えるものがあります。
熊川哲也に関しては賛否両論ですが、個人的には彼ではなく、アルブレヒトもロイヤルの外人ダンサーで観てみたかったですね。と、彼のカンパニーで言うのもなんですが、やはり若さというのか、役作りよりも見せ場の方に力が入っているように感じます。2幕では、今にも死にそうなのに、生き生きと踊って最後だけ倒れる…みたいなところもあって、ちょっと突っ込みたくなりました。ただ、全体的にはとてもロイヤル的で必見だと思います!
悪気もなくジゼルを死に追いやっている。(そのくらいでは普通は死なないものだし)
しかし、一見、外国暮らしが長く遊び慣れた男のように見られても
アルブレヒトの解釈に、熊川哲也は日本人なのだなと感じてしまう。
これは間違いなく日本人としてのアルブレヒトで、欧米の文化であるバレエが
日本にちゃんと根付くための正攻法の解釈ではないかと思う。
アルブレヒトだけでなく、ジゼルも美しい日本のプリマで見てみたいと思った。
付記 チャプターが1幕と2幕の2つしかないDVDです。ちょっと手抜きでは?