3人は最大限の敬意を払って各ナンバーを歌う一方で、現代的な切れ味も加えている。ミッチェルの「California」のカバーでは、バックでかき鳴らされるリラックスしたバリトン・ギターに乗せ、オリジナルの持っていたすがすがしさをとらえている。また、3人それぞれの父親に敬意を表してもいる。(チャイナの父ジョン・フィリップスが書いた)ママス&パパスの「Monday Monday」のカバーは、バングルズ風のバップを取り入れたナンバーで、オルガンとドラムが駆け巡っている。本作の幕を閉じるのは、(カーニーとウェンディの父ブライアン・ウィルソンが共作した)ビーチ・ボーイズの2曲。「Dance Dance Dance」は、まさにタイトル通りにリスナーを踊りたい気分にさせるし、(ブライアンのヴォーカルとピアノをフィーチャーした)「In My Room」は、シンプルなソロ・ピアノとスリーパートのハーモニーでアルバムを心地よく締めくくっている。
これは、ここ40年のあいだでも指折りの仕上がりのナンバーを取り上げた最高にさわやかなアルバムだろう。ところどころオーバープロデュース気味かもしれないが、ロック界のこの3人娘の歌いっぷりを否定するものはまずいないはずだ。(James Clarkson, Amazon.co.uk)