プルート・ナッシュ [DVD]
価格: ¥3,129
『プルート・ナッシュ』は、撮影後2年近くもお蔵入りとなったあげく、ようやく公開されたときには注目度ゼロに近かったといういわくつきの映画。その間『ショウタイム』でいくぶん良好な興業成績を収めたエディ・マーフィーが、それまで手がけたヒット作の続編ではない新作映画でコメディアン王としての地位を取り戻すべく、模索し始めた頃の野心作だ。
本作品の舞台は、社会派パロディー満載で描かれた月コロニー。ここでマーフィーは、月面で最もホットなクラブを経営する愉快なマスター、ブルート・ナッシュを演じる。『カサブランカ』の主人公リック・ブレインが西暦2087年に生きていれば、かくありなん、といったところ。強欲なギャンブラーから持ちかけられたクラブの売却話を断った結果、ナッシュと相棒のロボット(またもや縁の下の力持ち的な役回りを演じているのはランディ・クエイド)、新入り従業員ディナ(ほぼ直前に『メン・イン・ブラック2』に出演したロザリオ・ドーソン)の身にトラブルが降りかかる。『トータル・リコール』と『A.I.』が混ざったような映像で、ほとんど笑えないコメディーなのだが、完全な失敗作になっていないのは、マーフィーがダレぎみのユーモアに活を入れようと意欲を燃やしているおかげだ。マーフィーにはスーパースターとしての才能がある。だがその才能は、まわりの人間も同じレベルに達していなければ光らない。(Jeff Shannon, Amazon.com)