成功がそれぞれの夢に過ぎなかった頃、ギターリストのチャド・ギルバートはバンドに集中する為高校を中退しなければならなかった。ドラマーのシルス・ボルーキーは奨学生の資格と、フロリダで最初に心臓移植を執刀した彼の父親の様に医者になる道をあきらめた。ニュー・ファウンド・グローリー全メンバーが夢を実現させる為にそれぞれどこかで犠牲を払ってきたのだ。それを聴いてついこの間サンディエーゴーで太陽がさんさんとした午後に、ジョーダン・パンディックが彼らの5番目のアルバムについて『試練に耐えさせてくれる作品』といったことを思い出す。 『今までのレコーディングの中でこんなにいい出来は初めてだよ。』ギルバートは振り返る。カミング・ホームでさえ違う方法で書かれた。いつものツアーバスと試着室に代わり、バンドはモーニング・ビューという名(インカバスはアルバムをその名前にしたことは有名)のマリブーの家に住み込み、彼らの作った曲の中でも傑作をそのリビングで創ったという。デス・バイ・ステレオのポール・マイナー、ヴァンダルスのウォレン・フィッツジェラード、グウェン・ステファニーのバンドという顔ぶれでデモを聴いている光景はまるで任務を与えられたミュージック・キャンプの様だった。アルバム念頭の「オクシジョン」(酸素)が特別な人なしでは息も出来ないという歌であることは一度聴けばすぐにわかるだろう。そして最初のシングル「イッ・ノット・ユア・フォルト」では、『人生の約束について急にいわれたことがある/それは触れることに耐えられない心の感覚だ』といった歌詞で、恋のエッセンスとハートブレークをありのままに表現している。アルバムの切ない瞬間で唯一女のコについてでない歌にもメッセージは込められている。ギターがリードする「ウェン・アイ・ダイ」ではギルバートは2004年に亡くなった彼の父に捧げている。『死についての悲しい歌はどこにでもあるけれど、これは僕を強く、元気にしてくれる曲なんだ。』録音のメンバーについては、いつものメンバーも考えたが、結果的に、過去に数々の大物アーティストらのレコーディングをした輝かしい経歴を持つトム・パナンジオにプロデューサーを任せた。『彼はトム・ペティーとボブ・ディランと仕事をしたことがあるから、クラシックなバイブを、特に彼のトーンを入れてくれるから最高さ。』『15メサのキャビネットを倍にして大きく聞こえさせようとしなくてもいいということがわかったんだ』と、パンディックは言う。