セルフ・カバー集『Organic』をはさむとはいえ、オリジナルは実に2年8か月ぶりとのこと。ギターの藤井謙二が脱退したのが2002年の夏だから、2人になったマイラバとしては、これが最初のアルバムということになる。“人の心に機能するモノ”をテーマに、デジタルとアナログが融合した幻想的な音世界で新境地を聴かせる。本作からは、小林武史という人は常に時代の音に敏感なのだということがよく判る。

   ヒットを連発していた頃のマイラバと比べれば確かに地味な印象を受けるのだが、味わい深さという点では秀でている。何よりバックのサウンドとAKKOのヴォーカルとの絶妙な相性が素晴らしい。タイトル曲「FANTASY」と「ちいさな魂」はとりわけ名曲。（木村ユタカ）