ブラック・コーヒー
価格: ¥1,848
バークリー音楽院で、アル・クーパーは仲間の講師たちだけで構成された新しいバンドを結成した。経緯にふさわしくファンキー・ファカルティ(ファンキーな教職員の意味)と命名し、アルはこの教員仲間たちとアメリカ国内外で定期的に演奏を始めた。ファンキー・ファカルティは『Black Coffee』のスタジオ・レコーディングの数曲に登場している。アルはバンドの直感的な交流の伸び伸びとしたところを損なわないために、多重録音はせずにバンドのライヴを使っている。『Black Coffee』のために、アルはオリジナルを9曲、カバーを5曲選んでいるが、カバーの処理は他の追随を許さない独自のスタイルで行っている。14曲全体が2005年におけるアルの音楽性を完全無欠に表しているのだ。人生の過酷な現実が歌詞にもアルバム・タイトルにも反映されている。「My Hands Are Tied」、「Keep It To Yourself」。「Going, Going Gone」、「Imaginary Lover」、「Another Man's Prize」、「(I Want You To) Tell Me The Truth」はすべて、多くの人に通じるものがある最近のダークな状況を歌ったものだ。カバーの選曲センスもアルの長い歴史あるキャリアにおいて彼の心を捉えてきた音の世界の入り口を開くものだ。モータウンの伝説テンプテーションズ(「Get Ready」)から定番のブルース再興者ケブ・モ(「Am I Wrong」)、天才レイ・チャールズ(「Just For A Thrill」)まで幅広い。実際アルは『Black Coffee』を、数十年前の伝説のファースト・アルバム『Blood, Sweat and Tears』以来、最高の曲が揃ったアルバムだと考えている。その点、異論を挟む余地はない。『Black Coffee』はめざましい復活であるだけでなく、頂点でもある。アル・クーパーが成し遂げてきたものすべて、全ジャンルを渡り歩いてきた者として学んできたすべてを、この大注目の新譜に注ぎ込んでいる。だが、『Black Coffee』の聞き所を挙げることは不可能に近い。アルの言うように、「自分が作りたいようにこのアルバムを作り、その出来映えに満足している。私にとっては、それが成功ということだ」