Rock & Roll Circus [DVD] [Import]
価格: ¥1,619
ローリング・ストーンズの伝説的作品『Rock & Roll Circus』は、30年近くもの間まったく入手不可能な状態が続き、1996年になってVHSビデオでリリースされた。今回のDVD化によって、ようやく満足のいくかたちでの商品化が実現したことになる。内容は1968年の同名イベントのドキュメントだ。ストーンズは自分たちの演奏に満足していなかったと言われており(長らくリリースされなかった理由はここにある)、確かに完全燃焼には至っていない。当時のニュー・アルバム『Beggars Banquet』から「Jumping Jack Flash」などが演奏されるが、キース・リチャーズは真剣そのものなのに、ミック・ジャガーは(特に「Sympathy for the Devil」において)調子に乗りすぎだ。ギタリストのブライアン・ジョーンズは見るからに頼りなく、翌年の死に向かってまっしぐらといった様子。また、ストーンズ以外の参加アーティストについても首をかしげたくなる場面がある。ジェスロ・タルはバレバレの口パクをやってのけるし、タジ・マハールのバンドはサーカスのセットなし、観客なしの状態で演奏をやらされるという始末。即席スーパー・グループのダーティ・マック(キース・リチャーズ、エリック・クラプトン、そしてドラマーのミッチ・ミッチェルが参加)とジョン・レノンの共演は、ビートルズの「Yer Blues」のカバーがいい出来だが、ヨーコ・オノの耳障りな声が難点だ。とはいえ、ザ・フーは素晴らしい存在感だし、マリアンヌ・フェイスフルは美しいし、さまざまなサーカス的趣向は楽しい。観客も大いに盛り上がっている。
本作には魅力的なDVD特典がいくつか用意されている。たとえば、新たに追加されたタジ・マハールの3曲、ジュリアス・カッチェンによる素敵なクラシック・ピアノ演奏、「Yer Blues」の4分割画面バージョンなどだ。中でも最高なのは、ザ・フーのピート・タウンゼントとの新しいインタビュー、それにDVD化にあたって追加された各種の音声解説である。後者で特に注目すべきコメントを出しているのは、ジェスロ・タルのイアン・アンダーソン、監督のマイケル・リンゼイ・ホッグ、そしてストーンズのジャガー、リチャーズ、ビル・ワイマンだ。ちなみにワイマンによると、ジャガーが本作のリリースを嫌がった理由は自分のパフォーマンスがお粗末だったからで、バンドに非はないとか。何ともドライなお言葉だ。欠点はあれど、見ごたえ充分の1枚。(Sam Graham, Amazon.com)