「Dancing Queen」の空前のヒットでワールドワイドの成功を収めた彼らが、それ以前から暖かい声援をどの国よりも彼らに送ってきたオーストラリアへの公演旅行を題材に、ライヴでの雄姿とツアーでの素顔を完成度高く収めた作品で、本作のサントラ的扱いで新録スタジオ作品「The Album」が発表されたので、そちらと併せて楽しんでもらうとい当時の雰囲気が味あえるとおもう。
監督はABBAの大半の映像作品も手がけ、後にハリウッド進出も果たしたラセ・ハルストレム。奇をてらった演出はないが、ファン気質を知りぬいたさり気ない工夫で見事な作品に仕上げている。
そして、肝心のABBAだが、4人の魅力が本当にまぶしい。特に、ライヴでの2人の女性ヴォーカリストの圧倒的な歌唱力とカリスマ性には、今見ても言葉を失うほどだ。既に子供までいた30歳代女性とは思えない魅力が存分に楽しめる。個人的にはアグネッタの瑞々しい歌唱力とキューとな笑顔に満点をつけたい。
今思い返しても、インターネットもない時代に、ロックの世界では辺境といえるスウェーデンから、あっという間に世界的人気を博した彼らの才能と魅力には凄いものがあったと思う。と同時に、この後離婚や解散に向かっていく事を思うと、その栄光の裏にあった苦労や努力も並大抵ではなかっただろうと、妙な感慨深さも感じてしまう。
いずれにしても、素晴らしい作品。虚心に鑑賞してABBAの全盛期を満喫したい。