星5つじゃ足りない
★★★★★
2007年オランダ公演をHDカメラで完全収録した作品。
先行発売されているCDと収録曲は同じですが、オープニングのムービーや曲間のMCなど若干相違があります。
CDでは「軽い」と評されたスネアやベースも元気よく鳴っており、音の印象はかなり異なります。
画質、音質、パフォーマンス全てにおいて文句なし。
Rushのファンであればもちろん「買い」です。
作品の評価とは別に、あえて、ちょっと気になるところを書かせていただきます。
1:国内版ではDVD版でしかリリースされないのは何故?
この作品はBlu-ray Discでの発売が前提でフルHDカメラ21台を使って収録されており、過去の作品とはケタ違いに鮮明な画質なのですが、国内版ではなぜかDVD版のみの発売です。
もちろんDVDでも非常に画質は良いのでしょうが、本来の画質はそれ以上です。
プレイヤーの普及率や市場規模、版権など様々なことが理由でしょうがとても残念です。
ちなみにBDはDVDとは異なり日本は北米と同じリージョンAなので、国内で販売されているプレイヤーでUS盤を普通に再生できます。
(私の場合、本作をHD画質で見たいがためにPS3を購入しました)
2:価格について
元々、音楽やアニメは価格が高く設定されていますが、本作においても同様です。
現在Amazon.co.jpで入手可能なBD(Import)版は3,000円未満で購入できるうえ本来の画質/音質を堪能できます。
いったいこの価格差は何でしょうか?
前述の理由だけでは円高とはいえ希望小売価格と倍以上ちがうのは、いくらなんでもオカシイのでは??
もしあなたがBDを再生できる環境が既にあり日本語字幕や解説を必要と感じなければ、断然BDでの購入をおすすめします。
RUSH 100%
★★★★★
新作が出るたびほめちぎるばかりで申し訳ない。素晴らしい作品だ。
Rushを100%楽しめる。
まるでステージをそのまま手元に届けてもらったようだ。
3枚もディスクが入っているように見えない、スマートな四つ折り紙ジャケット。
オランダでのセット27曲、スクリーンで使う映像やそのメイキングを26分(R30ツアーのRed Sector Aを含む)。
そのほか、2008年のアトランタから4曲。
いったい何台のカメラを使っているんだろう。ステージ前でレールを走るカメラもある。
演奏は言うまでもないが臨場感が素晴らしく、
メンバーの自然な表情や観客の興奮の一方で
双方が集中する瞬間がわかる。テレビの前の自分もだ。
洗練された光の演出が本当に美しい。
虹色に光るセイビアンのシンバルや
何かに引火しやしないかと心配になるようなパイロもその一部だ。
CDでは簡単そうに聴かせてしまうが
実際に見ると今さらながらやはり演奏のテクニック自体がとても高度で
三人の呼吸や間合いを含め何だかずっと目が離せない。
彼ららしいユーモアもいっぱい(怖いよ、アレックス)。
見とれたり笑ったり泣いたり拍手したり、楽しい時間を過ごした。
そう、これがRushだ、と思う。
クレジットにあるが最近亡くなったスタッフがおられる。
メンバー、スタッフやファンの多くが人生の後半に入り
厳しい現実と戦う日々を体験していることと思う。
そして彼らの音楽にパワーをもらうファンが世界中にいるのだ。
残念ながら私はきっとライブを実際に見ることはないだろう。
この作品はそんなファンへの思いやりさえ感じる。
今ふと2112のイントロに入ろうとする三人のシルエットを思い出した。
三人が楽器を持ち寄って演奏する、すべてはそこから始まるんだ。
やっぱりこれは・・・奇跡だよなあ。