Failer
価格: ¥2,191
この若いカナダ人シンガー・ソングライターは、本作で突然のアメリカ・デビューを飾る。ここに収められた楽曲にどっぷりと浸るためには何回か聴いてみなければならないかもしれないが、キャスリーン・エドワーズが燃え上がるようなパフォーマンスをするアーティストであること、そしてそれを支えられる優秀なバンドを持っていることは明らかだ。ルーツ音楽のスタイルを借りて性的魅力や浮気心について歌うアーティストということで、どうしても若いルシンダ・ウィリアムスという呼ばれかたをされがちだったエドワーズだが、むしろオルタナ・カントリー版アーニー・ディフランコとか、女性版ライアン・アダムスと言ったほうがしっくりくる。しかし、エドワーズの音楽のもっとも力強い部分は、ほかのアーティストたちよりも深く、より個人的なところから出てくるのではないか。「Six O' Clock News」の暴力的なクライマックス、「Hockey Skates」に見られるあきらめ、「12 Bellevue」の弾むようなロックっぽいノリ、「Westby」のあっけらかんとした官能性…。はっきり言って、しゃちほこばったテーマを掲げたナンバー「One More Song the Radio Won't Like」や、よく世間でお目にかかるような “態度の大きい女性をひとり受け入れたぐらいで、あなた方男性の居場所がなくなると思うの?”という問いかけを含んだ曲は、エドワーズには似合わない。(Don McLeese, Amazon.com)