航空隊を愛した、新聞記者
★★★☆☆
読売新聞社の前線特派員であった著者が、前線で見た陸軍戦闘機隊、爆撃隊の壮絶な戦いぶりを描いたノンフィクション。
かの有名な高部隊(第五飛行師団)の六十四戦隊(加藤隼戦闘隊)戦隊長、加藤中佐との出会いの場面から始まり、陸軍航空に燦然と輝く高部隊の盛衰を描いている。搭乗員本人の記した戦記ではなく、客観的に見た事実を記した本であるから、偏った見方や美化した部分が少なく、信憑性が高いのではないかと思う。
どちらかというと海軍航空隊の影に隠れてしまい、とかく裏方となりがちな陸軍航空隊の数々の人間ドラマを堪能できる一冊でしょう。
ただ特派員として無理やり派遣された男では、ここまでの本は書けない。飛行機が好きで、搭乗員が好きでたまらない著者なのである。
日本人の新聞記者の中で、最多滞空時間記録を持っているのが、著者なのだそうです。いかに航空隊に惚れ込んでいたかが伺えまよね。
爆撃隊の出動ともなると、搭乗員でもないのに、無理やり乗り込んで行く・・・。海軍のラバウル航空隊が好きでたまらなかった有名な従軍カメラマンの吉田一さん(通称ピンさん)と双璧をなすと言えるだろう。