最初ディランは、このライブの企画には大乗り気で、ほんとうに「アンプラグド」なライブを考えていたらしい。ただし曲目は、彼の作品ではなく、往年のブルーズやカントリーなどがメインで、じつに渋い内容だったと聞く。そして時間をかけてリハーサルを繰り返していた。まさに「アンプラグド」なライブにもってこいの作品を夢中になって用意していたということだ。

ところが、プロデューサーからはオーケーが出なかった。誰もが知っているディランご自身の名作でなくてはダメだというのだ。
そんなわけで、せっかく続けていたリハーサルも無駄にして、しぶしぶ自作を歌ったのがこのライブということになる。

結果は吉。プロデューサーのダメ出しは図に当たり、じつに優れた歌と演奏で、彼の名作がよみがえる。しかし、ディラン自身の、アーティストとしてのヒラメキや、創造の場は、また絶たれてしまったのだという側面も見逃せないだろう。

わたしはファンとしてこのDVDにはすこぶる満足だ。じっさい、長年の間に2度も3度も買いなおしているし、ブートレグにも手を出したし、数え切れないほど観なおしている。また世間の評判もいい。これで歌詞に字幕が出ていたら、知人にも勧めていただろう。

しかし、同時に複雑な気分になる。わたしのような「ファンの身勝手な心理」が、ディラン自身の創造の妨げになったことも事実だからだ。彼に自由に選曲させ、自由に歌わせるべきではなかったのか？　そのかわり話題にもならず、こうしてDVDの再販もかなわなかったであろうけれども。

http://v.youku.com/v_show/id_XMTQxODc1OTMy.html

↓16-Nov-94リハーサル映像.flv（再生されない場合は、白枠をクリックして下さい。そのまま保存いただけます。）
http://www.dylanvideo.com/apps/videos/videos/show/9838317-mtv-unplugged-rehearsals-17-11-1994-pt-1
http://www.dylanvideo.com/apps/videos/videos/show/8532928-mtv-unplugged-rehearsal-17-11-94-pt-2

セッション・データ⇒ http://www.bjorner.com/DSN15755%20-%201994%20MTV%20Unplugged%20Sessions.htm#DSN15755
Bobは1995年以降 完全にハーモニカ・ホルダーを辞めてしまいました。
したがって、1994年の千秋楽である このショウでのHeaven's Doorが（〃ΘДΘﾉ）本当に最後のホルダー使用となってしまいました。

やっと買いました。レビュー見て決心して良かった！
ディランのDVDはあまりないし、MTVアンプラグドの中でも上位の作品だと思います。曲も上記の解説にあるように有名な曲が中心です。演奏は大ベテランの貫禄で、力みすぎず格好いいです。後半はだんだんと本人も乗ってきて、最高の演奏を聴かせてくれます。輸入盤は価格も安いし、ディランの曲が１曲でも好きならこのDVDは楽しめると思います。ちょっと褒めすぎかもしれませんが、落ち着いた作品なので、毎日でも視聴できるほど気軽に楽しめるお勧めの作品です。子供が眠った後にビール片手に最高のDVDですよ。

映像の少ないディランだけに本当によく見てます。言い方を変えると、それだけ見れる作品なんでしょうね。どの曲もベスト・アレンジといってよい仕上がりで、作品に新たな命を吹き込んでいるように思われます。ただ、「時代は変わる」と「神が味方」はアレンジうんぬんの問題ではなく、個人的にどうしても６０年代の輝きと比較してしまいます。特に後者の、ライヴでのジョーン・バエズとのデュエットにおいて。それはさておき、ＣＤ発売当初、「天国の扉」の演奏中ずっと入る指笛の音は、観客の誰かがほんとうにずっと鳴らしているのだと、その蛮勇ぶりに半ば驚嘆していたので、製作上のミスが発表されて回収騒ぎが起きた時、少し残念でした。

この人とNeil Youngはなにを今更Unplugged？と思うが、それはおいておこう。
若干アコースティック色が強いとはいえ、Never Ending Tourで演奏されて
いるライブとそんなに驚くほど違いはない。
とはいえ、近頃の彼のライブ映像というものが少ないのでこれは貴重なものなのだ。
特にお勧めは①と⑨。他にもボブの名曲は星のごとくあるとは思うが、このDVDの中ではこの２曲がいい！
演奏している姿には愛想もなにもないが、やはり彼の動く姿を見ると
それだけで私はうれしくなってしまうのだ。