書を捨てよ、アルバムを聴こう
★☆☆☆☆
薄っぺらだ。そこそこの人を集めて、なんとか一冊にまとめた−そんな安上がりな本。まるで、小学校か中学校の卒業文集のようだ。
インタビューを基にしたものも多いから、ライターの能力の問題もあろうが、全体的に散漫でビートルズとは無関係な脱線話が多すぎる。
プロの文筆家も情けない。恩田陸などは、何故、これに参加することになったのか。原稿用紙のマス目を埋めるために、軽薄な感想文をなんとかひねり出した感じ。何も感じられない。ビートルズに思い入れのある人なら、エピソードが湯水の如く出てくるはず。プロなら、こんな赤点すれすれの文章を小遣い目的で書くのではなく、潔く仕事を断るべきだ。
概して人選に問題がある。何の思想も感じられない。ビートルズ世代でもなく、ビートルズ好きという訳でもなさそうだ。意外性に惹かれて買ってしまったが、結果的には意外性のかけらもなく、単にその辺の暇な人を拾ってきたとしか思えなかった。
この本は、ビートルズ好きには決してお奨めできない。この本の購入をやめて、アルバムを一枚買おう。既に全て持っていたにしても、もう一枚買えばよい。その方が、遙かに芳醇な時間を過ごすことができる。