知的誠実さの極致を知るに最適
★★★★★
著作集では読めない「丸山真男」に関する論文を収録。イタリア語序文の日本語訳ですから、ことば遣いが若干「らしさ」にかけます。その他の論文をすでに単行本で読んだものとはいえ、「個別研究」論文として一冊にまとまると、読み応えがあります。なかでも、新井白石研究は、加藤の最も冴えていた頃の鋭い筆致が感じられます。しかも、いまだに右に出る論考が専門家のなかですら出ていないようですから、内容からも後世に残る秀逸なる論文でしょう。
加藤氏の、否、人の知的誠実さの極致を知るのに最適な図書です。