アレグリア
価格: ¥2,548
前作『フットプリンツ・ライヴ』はエネルギッシュな演奏が印象的だったけど、これはじっくりと構想を練り、入念にスタジオ録音した作品。ダニーロ・ペレス、ジョン・パティトゥッチ、ブライアン・ブレイドを伴ったレギュラー・カルテットを中心に、曲によってブラッド・メルドーやテリ・リン・キャリントンらが参加、さらにオーケストラも一部加えた大所帯による演奏は、一言でいって壮大な音絵巻といった感じだ。選曲も興味深い。というのも、常にオリジナルで勝負するウエインが、ここでは意外な曲をカヴァーしているからだ。リロイ・アンダーソンの<2>、ヴィラ・ロボスの<4>、ケルトの伝統音楽<7>、中世の聖歌<9>といった曲がそれだが、こういうのはこれまでになかった新境地といっていい。伝統的なジャズにはこだわらず、脱ジャンル的な指向を深めるウエインは、同時にオーケストレーションにも強い関心を示しており、これはその成果を世に問う作品。サックス奏者としてはもちろん、アレンジャーとしての力量も存分に発揮している。(市川正二)