物事を極めに極めて歳を重ねていった人の表情は本当に、それだけで感動してしまいます。
齢40にして悟りきった夏目漱石しかり、数十年を畑に投入した人しかり。山崎努はその中でも特一級の部類に入る
表情の持ち主だと思います。本当にかっこいい。
この本は、もはや前世紀の話、山崎努60歳、新国立劇場での『リア王』の役作りから稽古、公演の日々を綴った
凄絶な日記です。
山崎努は感情豊かです。完璧を追求し、追求し、追求し、生活をリアに費やし、そうした凄絶かつ地道な役作りの中に
見せる人間くさい感情、これも素晴らしく、おもしろい。リア王の解釈も読み進めるたびどんどん深くなっていき、
これほどまでなのか、とびっくりしてしまう。山崎努の考える過程が一つ一つ丁寧に示されていておもしろい。
本当に物語というものは何度も読まねばならない。
かなり厚めの本なのだが、あまりにおもしろいので2日間で一気に読んでしまいました。
これだけ一人ひとりの俳優さんたちのホンモノの追究の結果に生まれた『リア王』の世界、見なかったことを本当に
後悔してしまいました。
また、この本の数年の過程の中で多くの役者さん、監督さんなどが亡くなっていったことが触れられていて、
改めて素晴らしい方々を失ったのだ、と思いました。
山崎努さんにはまだまだ多くの演技を見せていただきたいと思います。
多くのことを学ばせていただきました。本当に興奮してしまいました。この本はほんとうに素晴らしいです。
乱文失礼いたしました。
激しい息づかいと共に、それが見えてくる。
読みながら、何カ所となく赤ペンでラインを引いた。
読み直そうと思ってページの端を折った。
心にこみ上げてくる何かを押さえきれず、本を壁に向かって投げた…
時折紹介される周囲の演劇人や黒澤明や伊丹十三、三船敏郎といった人々のエピソードのひとつひとつも味わい深く、得した気分にさせられます。また、末尾に付けられた日記索引もなかなかよいです。