英国録音っぽい手触りが印象的な「ノット・アバウト・トゥ・ルーズ」とか、ビル・ウィザーズを意識したという流麗な「ホワットエヴァー・イット・テイクス」とか、さりげないけど良い曲がそろっている。何気ない日常生活の中で、時おりふと感じる幸せな瞬間……ロンの歌はそんな感じに近いかもしれない。年間1位に輝くような大傑作ではないけれど、これがあったから今年も充実していたなぁ~と思えるような佳作。そんなたたずまいが、いかにもロンらしい。(木村ユタカ)