これは絶対お薦めです!
★★★★☆
手元に置いておく価値100%です。
1曲目の「春の声」、
以前のカラヤン指揮のバトルより自由に歌いこなしている感じがあります。
ルチアの狂乱の場も本当に迫真の演技です。
曲が超絶技巧であることより、ルチアの悲しみがよりクローズアップされて
このオペラの悲劇性が浮き彫りになる演奏になっています。
途中思わず胸が出てしまい、驚いてしまいましたが、
本人はドラマにのめり込んでいて、なりふり構わぬ迫真の演技に脱帽です。
「天国と地獄」は、本当に面白いところを抜粋してあって、
下世話で品のない場面でありながら、それを支える歌の技術は確実で素晴らしく、
一級品の芸術に仕上がっています。フランスならではの演出だと思います。
「子供と魔術」もこれまた息を呑む名演!
オランピアの歌やツェルビネッタの超絶技巧の曲は、
違った劇場での公演記録が収録されていて、
彼女の歌唱の様子は言うに及ばず、演出の違いやそれによる演技の違いやら、
比べて見ていると本当に楽しいです。
夜の女王の有名も、あんな人間味溢れる苦悩の表情で歌われるのは
このDVDで初めて見ました。
思えば、憎いのは旦那の方であって娘ではないのだから、
ああして言い放たなければならない母の葛藤があるわけで、
ああいう表情がつくのはまっとうなことかも知れません。
ナタリー・デセイ、CDで聞くとちょっと歌い過ぎる感があるのですが、
DVDだとその歌を裏付ける情感が見て取れて感激します。
本当に舞台の人だと実感できる名盤です。