知られざるオッフェンバックの傑作
★★★★★
この喜歌劇は、おそらく日本ではお世辞にもよく知られているとは言えない作品でしょう。今のところ、CDやVHSも含めて、これが唯一の国内盤だと思われます。しかし、実際に聴きはじめてみると、楽しく美しい旋律が次々と続き、音楽的には『天国と地獄』や『ホフマン物語』などの、この作曲家のより有名な作品よりもむしろずっと親しみやすく感じます。いかにもフランス風のエスプリの効いた舞台演出もなかなか好感が持てます。私たちオペラ好きは、普段どうしてもまずドイツとイタリア、それに次いで英米のオーケストラに関心が集まってしまう傾向がある(私だけか?)のですが、このリヨン歌劇場のオーケストラのうまさにはすっかり脱帽しました。美しき女流指揮者クレール・ジボーの颯爽たる指揮ぶりも素敵です。