素晴らしいキャストと整った演出が魅力
★★★★☆
大好きなレオ・ヌッチのタイトルロールなので、いそいそ観た、現代演出版ナブッコ。
民衆もソリストの男性も皆、ネクタイや背広を着ている。
ユダヤの群集は男性が帽子を被り、その姿は、ナチの弾圧を連想させる。
バックスクリーンに折々にヘブライ文字が映し出され、稲妻のシーンでは、その文字が崩れていく様が、映像化により、より効果的になっている。
心理描写を描き出す演出がいい。仕草、演技、衣装、小道具。そして、それらが映像化にあたって、再編集され、舞台では現せない手法で、さらに効果的に使われている。
また、テノール・バリトン・バスのソリストが、それぞれ力のある歌手で構成され、緊張感を落とす事が無い。
ソプラノ・メゾの二人のソリストの掛け合いも、異なった魅力をお互いにつぶすことなく、役の個性に充分合った形で発揮されている。
特に素晴らしいのが、ナブッコ:ヌッチの後半の独唱。
また、高音で伸びきるアビガイッレ:グレギーナのアリアも素晴らしい。
観て、損の無い一枚だと思う。
ウィーン国立歌劇場2001年版。ファビオ・ルイージ指揮、ギュンター・クレーマー演出。
バビロニア王 ナブッコ:レオ・ヌッチ(バリトン)
ユダ王の甥 イズマエーレ:ミロスラフ・ドヴォルスキー(テノール)
ヘブライ人の大司祭 ザッカリア:ジャコモ・プレスティーア(バス)
ナブッコの長女と言われているが実は奴隷の娘 アビガイッレ:マリア・グレギーナ(ソプラノ)
ナブッコの娘 フェネーナ:マリーナ・ドマシェンコ(メゾ)