Wincing the Night Away
価格: ¥1,383
インディー・ロックの誰より働くナマケモノたちが、ついに3枚目のアルバムをリリース。本作では、彼らの持ち味を何ひとつ失うことなく、ベッドルーム・ポップからスタジアム・ロックへと明確な移行を成し遂げた。キュアーとサイモン&ガーファンクルがもっとも神聖でない衝突を起こしたような舞いあがるヴォーカル、けっして多用されることのない敏捷なポップのフック、自嘲気味で剃刀のような切れ味のシャープさと同様に遊び心もある歌詞――いやあ、そうしたものがすべて健在なのだ。落ち着いてほしい、興奮するのはこれからだ。音的には「Pam Berry」でのっけからのせてくれる荒削りなサーフ・ロックから「Sea Legs」でのヒップホップのビートに近いもの、それに曲の3分の2でバンド・オブ・ホーセズに"曲"の書き方を教えてくれる「Sleeping Lessons」の広がりのあるエレクトロニカまで、新しい要素もいくつかある。『Wincing』はセカンドのようなクレバーなジャンルの遺伝子組み換え実験でもないし、デビュー・アルバムのように完璧な自己完結の小さな世界でもない。これはシンズの最高のアルバムではない。成長に伴う痛みのあるサード・アルバムだ。ジェイムズ・マーサーは後ろの列の仲間たちが言葉を聞きとれるようにシャウトする方法を学んだ。わずかにきつくなったエッジとさらなる自己が提示されている。だが、完全には溶けあっていない。マーサーは依然として今日のポップ界でもっとも才能あるソングライターのひとりに数えられるが、このアルバムが証明しているのは、このグループは自分たちの居場所にしているささやかなザック・ブラフの映画を見たり、「ズィス・アメリカン・ライフ」を聴いたり、フラペチーノを飲んだりするデモのゲットーから先に進む価値があるということだ。『Wincing』は、あなたの弟も、親も、寮のルームメイトも同じように楽しめる驚くほどスマートなロック・ミュージックで自信をもって直立する。--Mike McGonigal