本書は、Java プラットフォームにおいて高性能なソフトウェアを作成するための手法を解説したものである。著者は、JFC Swingの開発に当初から携わり、遅い処理速度をはじめとする性能課題の調査、分析とチューニングを行い、性能強化を実現した人物だ。
本書では、このSwingのチューニングで得た知識にもとづいて、性能改善の手法を具体的に説明している。構成は、性能チューニングプロセス全体の視点を持てるように、「戦略」と「戦術」の2部からなっている。第1部「戦略」では、Javaベースのシステムの性能を向上させるため、開発プロセスで取り組むべき戦略について、第2部「戦術」では、Java技術をベースにしたソフトウェアの性能を向上させるためのプログラミングについて、それぞれサンプルを使いながら解説している。「戦略」では、Java技術による開発に関わるソフトウェア技術者、管理者、品質保証の専門科などを、「戦術」では、Java言語の知識があり、ソフトウェアの速度を向上させる手法に興味のある技術者を想定して書かれている。Javaプラットフォームの性能チューニングに興味のある技術者におすすめしたい。(大塚佳樹)