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僧正殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集) (創元推理文庫)

価格: ¥972
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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推理小説の「古典」として読むべき…と思う ★★★★★
創元推理文庫としての刊行も昭和30年代なので、もはや「古典」としての扱いがふさわしい作品でしょう。ヴァン・ダインについては初期の6作(特に本作品と「グリーン家殺人事件」)を除けば駄作も多く、“本格推理小説の祖”としては賛否両論ありますが、単なる謎解きではなく文字通り物語として作品を構成したことは素晴らしい功績と考えます。
本作品ではDNA鑑定はおろか、ルミノール反応も硝煙反応も、今や2時間ドラマで当たり前に出て来る鑑識技術が出てきません。若い読者には「証拠の積み重ねではなく推論からの犯人捜しでは」という違和感もあろうかと思いますが、逆に“プロファイリング”の先駆けと言える描写もあり、あらためて読んでみるとやはり大した作家であると認識させられます。

新訳版となって文章がより自然な口語調になって読みやすくなっていますが、個人的には活字や段組が随分手を加えられており「老眼」に近づいた目にも優しくなっていることがありがたいです。以前の版も持っていますが、ベッドサイドで読むのはちょっと辛いです。
本音を言えばちょっとおどろおどろしい「グリーン家」を先に刊行してもらい、(実際に世に出たのも後になる)本作を新訳版の本命として2作目に出して欲しかったのですが、どれだけ読まれるか出版元も不安だったのかも知れないですね。
エラリー・クイーンやクリスティなど本格推理と呼ばれる黄金期の作品が好きな人達にも是非呼んでもらいたいなと思います。
超現実殺人事件の数学 ★★★★☆
この度日暮雅道訳でヴァン・ダイン作品を再読できることは非常な喜びです。そして「僧正殺人事件」はその第一弾にふさわしい素晴らしい作品であるあったことを強く実感した次第です。僧正殺人事件は、超現実的な事件をあたかも一遍の数学論文の如く、緻密に暴いていく醍醐味に溢れています。日暮訳はその滑らかで読みやすい文体により、論理の流れを力強くしたようです。難解と思われがちな本格ヴァン・ダイン推理を、これを機に読んでみたい方にはぜひお勧めです。
黄金期の一大傑作! ★★★★★
ヴァン・ダインのミステリーは面白い。

この作品も冒頭から、前作の’グリーン家’を引用しながら、「最も陰惨にして最も奇怪、最も納得しがたく、最も戦慄を呼ぶ事件」との口上で煽る煽る。

奇奇怪怪の連続童謡殺人に名探偵の名調子(薀蓄話)を交えて物語が進み、特に全編を支配する、僧正(ビショップ)の不気味な影と、重厚な雰囲気が印象的です。
また事件の展開も飽きさせず、冗漫と評される会話の部分もテンポ良く進められています。

特に議論になるのは、犯人とその不条理な動機ですが、ありきたりな犯人や動機で、こんな大事件の収まりがつくはずもなく、ヴァンスも終盤では動機の説明に多くの言を費やしているので、私としては’あり’との判定を下してます。

ヴァン・ダインは、一般的に「探偵小説のための20則」のような古臭いミステリーのルールを作った保守的な作家という見方をされますが、実際は読者を楽しませる為に、自ら作成したルール破っても作品を書くような作家で、本作はそのエンターテナーぶりが最高潮に達した作品だと思います。
「だあれが殺したコック・ロビン?」 ★★★★★
 といえば『パタリロ!』……ではなくて、やはり『僧正殺人事件』ですよ。
 
 マザー・グースに見立てた連続殺人! 犯人“僧正”とは誰か? 博覧強記の名探偵ファイロ・ヴァンスの心理学的手法の推理とは?

 謎めいた犯罪は残酷な狂気?それとも冷酷な正気?邪悪に対するファイロ・ヴァンスの武器は緻密な論理と圧倒的なペダントリー!魅力的な犯罪。個性的な探偵と犯人。そして知と知のせめぎ合い。推理小説ならではの魅力が満ち満ちています。
 
 ただ、面白いだけに見逃せない欠点も目立つんですね。いわゆる「人間が描けてない」。というか人間描写がかなりありえない!
 まずファイロ・ヴァンス。ペダントリーが過剰すぎる!推理に関係あることから関係ないことまであまりにも喋り過ぎです。
 また分析された真犯人の心理像ですが、これが本作のキモのはずなのにこの説明が無茶苦茶です。というかこれは説明になっていない!
 個性的に過ぎる登場人物たちの現実離れした性格付けが犯罪の狂気と絡み合って、本作は本格推理というより後のサイコホラーの様であります。

 では、本作は駄作の烙印を受けるべきでしょうか。断じて答えます。否!と。まさにその点がこの小説の時代を先駆する面白さなのです。

 面白さを追求するあまりの過剰さ、いびつさ。それがこの小説の魅力なのです。「バロック的」といってもいい。
 推理小説の揺籃期に生まれた、いびつで歪んだ規格外の真珠。それは今も独自の魅力を持ち続けているのです。

 ヴァン・ダインの大傑作、新訳で登場です。未読の方はぜひ読んでほしい。旧訳を既読の方はこれを機会に再読してほしい。


ヴァン・ダインのイチオシ! ★★★★★
今を去ること20年以上前から同書を読んでおりましたが・・・12作あるヴァン・ダイン物の中でも傑作です!「グリーン家殺人事件」と並び称されていますが、私はこちらを最初に読んだためもあり、「僧正」がイチオシですね!!旧訳が少々読みづらいな〜と思っていたので、こちらの出版を知るやいなや速攻購入しました。大満足で、またまたじっくり楽しめました!