なぜこんなものが話題に・・
★☆☆☆☆
噴飯物の眉唾本。その主張のほとんどは著者クロッサンの想像の産物であり、厳密な文献批判を踏まえたものとは言い難い。例えば「ペトロの福音書」が四福音書より前に成立したなどの主張はクロッサンの議論にとって不可欠の前提となっているが、これまでの新約学の蓄積をある程度知っている者であれば、その時点で相手にすまい。前世紀からの真摯な研究の蓄積を知らない好事家が、こんな奇をてらった本の面白さに飛びついて話題にしているのが嘆かわしい。興味本位で読んでも、真面目に受け取らぬことをお勧めする。