シューベルト:ピアノ・ソナタ第19番・第21番
価格: ¥1,050
シューベルトはその生涯に20曲あまりの独奏用ピアノ・ソナタをのこした。特に彼の没年となった1828年に一気に作曲された3曲の遺作ソナタ(D.958~D.960)はいずれも完成度の高い名曲として知られているが、特に最後の21番(D.960)はその音楽性や規模からいってロマン派のピアノ曲の頂点をなす作品といえるだろう。しかしその一方であまりにも長い演奏時間ゆえ敬遠されるケースも少なくないのだが、次々と繰り出される耽美的なメロディーやしっかりとした様式美など聴きどころには事欠かず、近年は愛聴者の数も増加しているようだ。
ただし、演奏する側からするとシューベルトのソナタは簡単ではない。ただ楽譜どおり弾くだけでは単調になり、聴く者の冗長感を増すだけになってしまう危険がある。このCDで聴かれるレオンスカヤの演奏は、女性らしい優しさと細やかさ、楽譜への深い造詣があいまって、非常に明度の高い音列のきらめきが紡ぎ出されており、初めて聴く者をも退屈させることがない。(奈良与志雄)