ガイドブックが書かない八重山の素顔
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先日、石垣島と竹富島に行ってきました。家族との観光旅行でした。澄み切ったサンゴ焦の海、抜けるように青い空、国内の観光地としても一級品の部類に入るでしょう。
けれども、かつての八重山に苛酷な歴史があったことは、司馬遼太郎さんの「街道をゆく」やネットで検索したことで少しは知っていましたし、現地の博物館や民芸館を訪れてもう少し掘り下げて八重山のことを知りたいと思っていたところ本書の存在を知りました。
本書は八重山の歴史にふれながらその風土や民俗を描いています。当初書かれてから半世紀近く経っているのでそれぞれの島を取り巻く状況は表面的には相当変化していますが、その根底に流れているものは今も変わらない部分が多いと感じました。
人頭税、強制移住、マラリアとの闘いなど書かれているテーマは苛酷であるのに読後感が暗くならないのも八重山のたくましい風土のせいでしょうか。
観光オンリーで石垣島や西表島へ行って「ああ楽しかった」、それでも十分と思いますが、できることなら八重山の風土を知ってほしい。本書はうってつけです。八重山に行くなら是非一読をおすすめします。もっと八重山が好きになれます。
そして、また八重山を訪れたくなるでしょう。
貴重な八重山の記録
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本書は以前、朝日文庫から刊行されてたのですが、それが品切れに
なって以来、長らく絶版でした
ようやく再刊されて良かったと思います
本書は、著者が1964年に八重山の各島を巡った記録であり、
当時の島々の様子が活写されており、大変に貴重なものだと
思います
今でこそ八重山諸島は観光地としても国内有数の場所ですが、
当時は米軍政下におかれており、まだ観光客も少なく、昔からの
文化や生活の姿が残されていました
本書では、そういうことがよく理解できると思います
新城島のアカマタ・クロマタの祭祀(豊年祭)の写真も
掲載されてますが、この祭祀は撮影・録音・録画など一切が禁止
されてるので、どうやって撮影したのか気になるところです
いずれにしても、八重山のことをさらに深く理解しようと思う
方には必読の書でしょう