トム・ペティ＆ザ・ハートブレイカーズの概要をたどるアルバム。この2枚組のもっともすごいところは、このアーティストたちが、彼らの時代だけでなくどの時代にも通用するバンドであることを、パワフルに教えていることだ。10点満点の7点を決して割らないレコードを、四半世紀に渡って作りつづけるなんて芸当が可能なロッカーが、他にいるか考えてみてほしい。初期のディスク1が後期のディスク2よりもアグレッシッブであることは確かだが、両者が反対の内容だったとしても、別におかしくはない。成熟がペティと仲間に倦怠をもたらすのは、まだまだ先のことだろう。18曲入りの『Greatest Hits』と6枚組の『Playback』ボックスセットの間をしっかり埋めるこの『Anthology』は、ほとんどがFMの定番となった34曲を収録している。1976年の「Breakdown」から、アルバム唯一の新曲「Surrender」まで、このレトロスペクティブの勢いは衰えない。衰えるなんてこと自体が、不可能なのだが。（Steven Stolder, Amazon.com）