家庭菜園本の枠を超えた本
★★★★★
著者はオムロンで生産技術のトップを勤めた方である。そのものづくりのエッセンスを家庭菜園に当てはめてできたのが本書である。
一般の家庭菜園向けの図書とは一線を画する。周年栽培することを大前提とし、そのための土作り、作付け計画、畝管理にわたり、生産計画のノウハウがふんだんに織り込まれている。
オムロンはきわめてユニーク企業で、いつも体温計でお世話になっているが、その他にも産業用機器として社会のあらゆる場面に普及している。そのオムロン製品を世に送り出すところで貢献していた著者は、生きる生産技術の至宝であり、ものづくり日本を支えてきた司教だ。その彼が家庭菜園という個人的コスモでなしえた作品であるから、本書をバイブルと読んでも言い過ぎではあるまい。
具体的に述べよう。周年栽培において避け得ないのは土壌作りである。土壌なくして周年の野菜栽培は成り立たない。著者はわずか30坪の畑で連作障害を防ぐ方法を披露している。
畝管理においては積極的なマルチ活用を提唱している。家庭菜園は限られた作業時間で全ての作業を行わなければならないから、草むしりをしている暇はできるだけ削らねばならない。その究極の方法がマルチの活用なのである。
全体作付け計画と個別野菜ごとの生産方法は微に入り細にわたり解説され、生産計画表までつけていてくれているのだ。う〜ん、ワンダフル!すごすぎる。
私は喜多村氏が本書を世に送り出してくれたことに感謝する。