インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

歴史の夜咄 (小学館ライブラリー)

価格: ¥1
カテゴリ: 新書
ブランド: 小学館
Amazon.co.jpで確認
歴史オタクとしての司馬を堪能 ★★★★★
昭和47年から55年にかけて行われた司馬と林家の歴史談義である。司馬49歳から57歳の頃のもので、いわゆる「司馬史観」の完成期の対談として興味深い。

司馬は「日本の歴史は鎌倉から」とよく、いう。それ以前の記録が少なく、どうしても想像をたくましくしなければならない。どうかすると妄想の世界に入ってしまうから、というのがそのひとつの理由だが、もうひとつの大きな理由は、日本人のモラルの原型が鎌倉期に形成された、と司馬が見ているからである。

たとえば「名を惜しむ」というキーワードがある。日本人は名誉を非常に重んじ、これを守るためには死も辞さない。今はどうだか、という感もあるが、少なくとも、幕末から明治頃までの日本人はそうだった。当時の日本を訪れた多くの外国人が、日本人の驚嘆すべき美点として記録を残している。この日本人特有のモラルは、実は中国伝来の儒教や仏教にはない考え方で、鎌倉期に形成されたものだ、と司馬は考える。

小説のようなダイナミックな面白さはないし、分野の違う専門家との対談でみられる意外な展開もないが、歴史マニア同士の議論がディープで圧倒される。歴史オタクとしての司馬を堪能できるという意味で、他の著作では見られない異色の一冊である。