「嫌われてもいいから自分を押し通すべき」VS「相手の気持ちに
なり、相手のためにつとめること」と言った考え方に悩んでいる
人は多いのではないでしょうか?
著者は、冷静に、「一般に「つきあいがいい」ことは1つの美徳と
見なされている。それは自我の一部を殺すことが要求されるからで
ある。だが、あまり自分を殺していると、いつの間にか自分自身が
なくなってしまう。イヤな時はイヤな顔をする方が心の衛生にに
かなっている。そして、その方が結局永くつき合えることになる」
と言っている。
体系的ではないが、個々の項目それぞれに説得力がある。
『師弟のつき合い』中の『新しい師弟愛』という項目では戦前・戦中の道徳教育を引き合いにし、「世の青年も教師たちに向かって法則や規範や方向や束縛を求めてはならない。むしろ、そのようなものを与えたがる教師を警戒しなくてはならない」と説く。
また『父親とのつき合い』では、「戦後は家庭における父親の威厳がひどく落ちたということである。そのために父と子の間のへだたりが少なくなったとすればまことに結構である」とのたまう。
学校は小さいケダモノ達の楽園と化し、子は父親を殺す禽獣となったのに、何を言うのやら・・・。
星を一つ減らしたくなりますが、その他は大変面白いので星五つです。
お勧めします。