ネオ・オーストリア学派を知るための最良の書物
★★★★★
メンガーやハイエクなどに端を発するオーストリア学派だが、戦後この学派はどこにいったのだろうか。本書は、オーストリア学派のその後を知るためにだけではなく、この学派のもっているすぐれた現実感覚や今日的意義を知るのにも適切な書物となっている。現段階でのアメリカにおけるネオ・オーストリア学派についての最良の書物の一つだといってよいだろう。この学派の内部事情や正統派との関係など、アメリカでネオ・オーストリア学派に身近に接している著者ならではの見解がうかがわれ、興味深い。評者には、著者がこの学派にたいしてつかず離れずのスタンスを持っていることが、面白かった。