充実の解説
★★★★☆
戦後から50年間の流行した日本のファッションがジャンル分けされて紹介されているので分かりやすかった。これだけキチンと分類されて、かつ結構なボリュームで解説してある本はなかなかないと思う。
ファッションを事実に忠実に再現するのに適しているのはイラストだが、取材者やイラストレーターの主観や技術というバイアスがかかってしまう。これを排除するため、あえてドキュメンタリー写真のみ掲載する方針で制作されているそう。
そのため、手配しにくかったと思われる古い写真に関しては、もう少し分かりやすい写真を…とか、その写真を載せてくれてたら…とか物足りなさも感じたが、価格と内容のバランスでは十分元をとれる内容だと思う。
日本のファッションはすなわちストリート
★★★★☆
時代系列に従って文章と写真のセットで戦後から90年台まで構成は単調に紹介されています。単調であるから辞書のようなものとして見えます。
やはり日本のファッションはすなわちストリートなのだなという認識が得られました。アメリカ人相手の売春婦からストリートファッションが始まりパタンが出尽くしてパタンを好きなように構築するスタイルと渋カジ・フレカジのような良いものを組み合わせる普通のスタイルがメインとして残るというある意味落ち着いたところへ来たという現象の変化が見られます。
他人を拒絶するカラス族。他人を見下すボディコン。他人と仲間意識を持つ学生運動スタイル…などなどファッションはやはり政治による精神状態がそのまま反映される面白い現象だなということが良く分かります。やはり服は面白い。デザインは社会性そのものだなと。その点で芸術作品そのものだなと思えます。川久保玲の「女性が苦しいのは私のせい」という言葉が全然自分を高めた発言ではなくそのまま正しい社会認識だと思える。社会性を抜きにできるデザイン・芸術はありえないでしょう。芸術は社会科学の素材構成への写像だと。
欲を言えばもっとカラー写真を増やして欲しい。
お洒落って、本当にいいものですね
★★★★★
当時の写真が非常に多く、しかも大きく掲載されています。(時には見開きで!)もちろん写真なので、服装だけでなく、それを着た人の表情、バックの町並み、周りの人の目線など全部が見られますよ。ファッションに合わせてその時代の社会現象や音楽、映画などの解説もあるので、読めばちょっとした戦後日本通です。
こういう本でよくあるのが、時代のファッションたちをイラストで分かりやすく説明したもの。いや、私はそれはそれですごく好きなのですが、やっぱり写真で実際見るよりは興奮も感動も味わえないかなあ、と。
何度読んでも(見ても)その度に面白い発見が出来そうな本です。表紙もおしゃれ!買う価値ありです。