土地所有者と小作農民、都会と農村を舞台に様々なできごとや人間関係が歴史の進展とともに描かれ、父や母から息子や娘へと4代に渡るクロニクルとなっている。透視能力をもった妻であり母親であるクララを中心とするファンタジー的要素とあいまって、エネルギッシュだが独善的な父親と子どもたちとの相克、階級を超えて愛しあう若者たちや、挫折に終わった社会主義政権、良心的に生きようとする人々の困難、軍事政権の残虐さなど、次から次へと展開する事態に読者はひきこまれていく。そしてこの物語の最後の語り手となる孫娘アルバの勇気 .....
原作のスペイン語から翻訳された英語は、特殊な語句を除いて比較的読みやすく、どんどんページを捲りたくなる、充足感の残る小説である。
因みにアジェンデのその後の小説、Of Love and Shadows と Daughter of Fortune もとても面白い。