純粋なブルース党の中には、ウィンターがしばしば異常なまでに几帳面なプレイをすることに不満をもらす向きもあるが、このコレクションはウィンターが驚くほど幅の広いミュージシャンである点を強調している。燃えるようなゴスペル・ブルース「I'll Drown in My Tears」では、ウィンターのさまざまなヴォーカル・スタイルが確認できる(何度もサイドマンを務めている弟のエドガーをフィーチャーしたトラックのひとつでもある)。その後、切れ目なく次の曲「Come On in My Kitchen」へとうまい具合につながる。ドブロとフルートというめずらしい組み合わせによる熱演が聴けるトラックだ。しかし重点が置かれているのは、ウィンターの派手なロック・スターぶりと、彼の率いる有能なバンド(それにギタリスト仲間のリック・デリンジャーや「Hang on Sloopy」で有名なマッコイズの面々)とのコラボレーションだ(「Rock and Roll Hoochie Koo」、「Still Alive and Well」、そしてライヴ演奏による力強い「It's My Own Fault」と「Mean Town Blues」)。
ウィンターの原点である60年代後半のパワー・トリオもここに並べられている。小さいながら圧倒的な存在感をもっていたこのグループの演奏を聴くと、スティーヴィー・レイ・ヴォーンや彼の後継者たちの多くがウィンターの影響下にあることを感じずにはいられない。実際、ウィンターのトリオでベーシストをやっていたのは誰あろうトミー・シャノンなのだ。10年後、シャノンはヴォーン率いるダブル・トラブルに加入し、またしても脚光を浴びることになる。アメリカン・エレクトリック・ブルース命という人なら経典のひとつにしたくなってしまうコレクションだ。(Jerry McCulley, Amazon.com)