他の収録曲でも同じ路線が続けられている。どのトラックも、いつの間にか惹きこまれてしまうコーラスを、注意深く作りこまれたサウンドで固めているが、たいていちょっとしたひねりも加えている。歌詞の面ではブロンディやスミスなどを引用しながらも、ラブソングの決まり文句にまで手を染め、一方的な関係の犠牲者にすすんでなった者として自らをしばしば表現している。また何曲かでは興味深いコラボレーションも見られる。「Turn the Light On」「If You Weren't Leaving Me」ではテイク・ザット時代の仲間ゲイリー・バーロウと再び組んで、せわしないパワーポップを生みだしている。
メロディーがぶつかり合うエンディング曲「My Life」ではイアン・マッカロックのギターをフィーチャーしている。オーエンは本作をデビュー作のように感じると語っているが、確かにその言葉もうなずける作品となっている。以前テイク・ザットのファンだったリスナーなら、かつてのヒーローがもがきながらも成長をとげ、それでいながらボーイッシュな魅力を失っていないことをうれしく思うはずだ。(Dominic Wills, Amazon.co.uk)