ひとつのサクセスストーリーを成し遂げた著者に敬意を表する。
しかし、書かれた内容はどこかで読んだことのあるようなものばかり。特に新鮮でも、深い感銘を覚えるものではない。

著者の経営論、リーダー論は、世界をひとつの普遍性で捉える中国人的な大陸的世界観に基づくものだと思う。
本の中身よりも、むしろそんな世界観が意図せずとも如実に読み取れることの方が興味深かった。
私にとってこの本を手元に残しておく理由は「日本だけが特異な訳ではない。国民性を逃げ道にするのはもうやめよう」という一点である。

宋氏は分析力、計算力、効率化に秀でた人物で高い実績を上げてきた。
しかし、仕事でいちばん重要な「思いやり」という部分が欠如しているように思える。
人間は機械ではない。
人は事実で動くのではなく感情で動くのだ。
皆で一緒に幸せを築いていく社会こそが我々人間の使命ではないだろうか。

　宋さんの本を何冊か読んでおり，会社員として共感することが多かったです。この本は質問に宋さんが答えるような形式となっているために，どこから読んでも話がわかります。
　これまでの本と内容が重複している部分もありますが，宋さんの考えがよくまとめられております。ノウハウ本ではないので，すぐに何かに役立つと言うものではなく，今の状況を理解したり，今後のことを考えるための指針として参考になりました。

宋さんの体験談をもとに日本企業のあり方のおかしな点があれこれ論じられています。
インタビューを基に起こした本のようで、わかりやすいが、論証にかける。具体的なことが書いてあるが、その一般性に疑問がもたれる。こうした欠点は免れないと思います。

読みやすいということの理由に、文字面が大きい文字で字間と行間を充分過ぎるほどとっていることがあります。読書になれた人だとたぶん30分で読めると思います。
そこでついつい値段と中身を比較することになります。この内容なら、文庫本で４００円くらいが妥当ではないでしょうか。

□記憶からのメモ□

･日本に来て勉強をし、帰国せず就職したのにその会社がすぐに倒産したこと
･自分が作ったソフトがかなり売れたこと。
･うまくいきはじめて、社員を一人だけ採用したもののうまく使えなかったこと
･しかし、最終的にはその社員にもちゃんと仕事をさせかなりの働きをするまで育成（指導）したこと。
･日本企業が「営業」活動へのまちがった思い込みをしてることが多い。それへの批判
･大企業の社長とも知り合い東証一部上場までもっていったこと

こうした具体的な事実や指摘は参考になります。