教科書としても読み物としてもお勧め
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近頃「右脳開発」などといった本やTV番組が増えてきているように思います。脳に関して人々の興味が高まってきたことは喜ばしいことなのですが、誤解に基づいた脳機能のラテラリティの記述や、低俗なハウツー本なども増えてきてしまっているのも確かです。そういった状況ではありますが、ラテラリティに関して、正確な知識を求める方や、研究に必要な専門性を求める方に本書はお勧めです。
本書は脳機能のラテラリティ―よく言われるのは左脳が言語で右脳が空間認知(このことも実は正確ではありませんが)―について非常によくまとめられた本となっています。
脳機能のラテラリティについて、視覚、聴覚、触覚といった知覚系ごとに分けて研究事実をまとめているだけではなく、ラテラリティを研究する上で、どのような手法がとられているのか、といったことも述べられており参考になります。
特に、触覚系のラテラリティの研究や、ラテラリティの発達についてまとめられた書物というのはなかなかないと思いますので、そういった意味でもこの本で関連する参考資料などを探す際にも便利な一冊になっています。
専門書ではありますが、記述が堅苦しくないため、教科書としても使えるだけでなく、読み物として読んでも面白いと思います。
脳機能のラテラリティについて、正確な知識を得たい方、研究に携わっている方にお勧めです。