アルジェリア出身、フランス在住の作者が生み出す世界は、限りなく幻想的なのに、同時に限りなく現実主義的だ。その独特の視点、独特の描写は、謎めいた引力を持っている。まるで子供がお気に入りの同じ絵本を幾度となく読み返すように、大人のための絵本のようにして何度も読み返してしまうのはそのためだと思う。
読む度に、地中海をまたにかけてバーチャル小旅行している気分になってしまう一冊。