おしゃれな作品です!
★★★☆☆
一番好きな作家、小池真理子の作品です
今回は著者初の試みとなる全編メール形式の小説
文章も横書きで最初戸惑いましたが徐々に慣れつつ読み進めました。
離婚経験のある由布子は、妹・美晴の入院中、その夫である龍士郎と息子の航太の面倒を見ることに。
龍士郎とメールのやりとりを重ねるうちに、惹かれあうように…
他人のラブレターを盗み見る様な後ろめたい感情になりつつも、この禁断の恋の行方が果たしてどんな終焉を迎えるのか気になりラストまで一気に読みました。
小池真理子らしいまさに音楽を奏でている様な文体でした。
メールが紡ぐオトナの恋愛
★★★☆☆
全てメールのやり取りのみで構成されている作品。
そのため通常のメールであれば書くことはないであろう状況説明的な文章が多く、前半はそれが邪魔をして登場人物に感情移入しづらい。恋の始まりの盛り上がる部分で、むしろ鬱陶しさを感じた。(文章表現というより、他人の恋愛とはそういうものか!?)
後半はもつれたオトナの恋愛の着地点が気になり、あっという間にオチまで辿り着いた。
お互いを求め合ういい大人の男女が、もつれ合いながらも理性で押し留める…なんてことが、実際にはあるんだろうか?数ヶ月にわたる本音をさらけ出しあうメールは立派な前戯とさえ言える。ようやくそのチャンスが訪れたというのに…。
いやだからこそ小説であり、美しいのかもしれない。
大人の恋。
★★★★☆
何の予備知識もなく本を開いたので、横書きの小説であることに驚きました。
これは全編メール形式の小説でした。
主人公とその妹のご主人の間で密かに交わされるメール。
最初はお願い事だったり、ちょっとした近況報告の内容であったものが、
だんだんとお互いの中に惹かれあうものを見つけてしまう、というストーリーです。
わたしも以前から、メールというのは不思議な存在だなと思っていました。
例えば手紙だったら、書いて投函するまでにタイムラグがあるため、
何となく恥ずかしくなって出さずじまいと言うこともあります。
電話は、かけることさえできなければ、結局何も始まらない。
でもメールは、その時の素直な気持ちをストレートにすぐ相手に届けてしまうのです。
口では言えないようなことも、(笑)と語尾に付けるだけで許される。
こんなに相手との距離を縮める事が出来る恋愛手段は、他にないのではないでしょうか。
大人の二人だからこそ、相手を思いやる素敵な言葉が次々と出てきて、
お互いに癒され、心地よくなってしまったのでは。
一見ドロドロした設定に思えるかもしれませんが、
さらりとした後味の作品です。
あくまでも”午後の”音楽という感じ。決して”夜の”ではない。
日溜まりの中で読みたいようなお話でした。
大人の携帯小説?
★★★★☆
小池真理子が横書きの小説?書店で見つけてびっくりしました。
40代にもなるとどうもこの若者向けの「横書き」は受け入れにくいものがあって、少しためらいました。
読み始めても、最初はその違和感がぬぐいきれず、いい年をした中年の男女がメールを媒体にして気持を昂ぶらせていく様は、滑稽さも漂わせ…。恋に落ちていくプロセスにもちょっと首を傾げたりして。
しかし!二人が義理の姉弟であるという障害が、果たして越えられるのか、それとも…と、いつの間にかむさぼるように読み、ラストには爽やかな読後感。やっぱり小池真理子は大人です。小池真理子の新たな意欲作といえましょう。